物理の勉強法:後編
具体的な物理の勉強の進め方については、数学と同様に(数学の勉強法:前編・後編参照)教科書を用いて基本事項と論理的思考を学び、さらにセンター試験問題集や物理重要問題集 2014―物理基礎・物理(数研出版)を用いて、更なるステップアップを図っていくことになります。
ちなみに、物理においても化学と同様に、入門的問題集としてセンター試験問題集を挙げていますが、こちらは化学ほどお勧めではありません。と言いますのも、物理のセンター試験問題集は手広く問題を集めているせいか、基本事項を確認する問題は多くあれども、物理的なイメージや論理的思考を要するような深い問題はあまり採用されておらず、物理において最終的に到達したい状態への基盤を形成するための問題集としてはやや物足りなさを感じるからです。
学校や予備校で配布される問題で十分に基本事項の確認が行われることとは思いますが、センター試験問題集よりもさらにお勧めの問題集が見つかった時はご報告致します。
さて、物理という理科の一科目に対して多くのことを述べてきましたが、ここからは注意点を。時々、勘違いされる方もいますが、私の意見としては物理においても教科書記載の公式は全て証明出来る力が必須だと思っています。一部の公式は数学でのものより、証明することが難しいですが、全ての公式が証明出来るようになれば、かなりの実力が付いたと思ってもらって構わないと思います。証明練習が終了すれば、問題を解き始めるかと思いますが、物理においては数学や化学よりも、解く問題のレベルを自分の実力と比較してやや高めに設定するといいと思います。これは不慣れな問題に接することで、物理的にイメージする力を鍛えることを目的にしており、問題演習で論理的思考力を鍛えることを目的とする数学や化学といった教科では逆に、難易度を無理に上げずに問題演習に取り組むことを推奨しています。
最後に重ね重ねですが、物理という教科は、複雑な問題への対応が難しくなることから、解法記憶という手法は数学よりさらにお勧めできません。現象を物理的にイメージ(理解)する力を妥協無く磨き、論理的思考で最終的な正解に到達できるようになるよう心掛けましょう。
物理の勉強法:前編
文系の方は基本的に選択することがない教科かとは思いますが、今週と次週の二週に渡って物理の勉強法についてまとめようと思います。
物理という教科は
①現象を物理的にイメージすることが出来るか
②論理的思考ができるか
が非常に重要であると言えます。
上記で何を意図しているかを正確にお伝えすることは非常に難しいと思いましたので、今回は物理の代表的単元である力学の問題を例として説明を行っていきます。
例)摩擦のある斜面に物体(立方体)を置いた時にどのような運動が起こるかを考えなければならない場合、まず初めに行うべきことは何でしょうか?
もちろん、物体の運動を考えるわけですから、物体にどのような力がどこに対してどれくらいの大きさでどの向きに働くか(力学では→をよく使用しますが、その構成要素と同じですね。)を考えるべきだと私は思います。
そこで①ですが、重力というのは物体のどの部分に対して働いているのでしょうか?摩擦力は物体のどの部分に対して働いており、その大きさはどのように決まるのでしょうか?垂直抗力とは一体どのような力で、どの向きに働くのでしょうか?などについて正確な物理的イメージ(理解)が持てていることが非常に重要になります。
重力の作用場所が分からなければ、追加でモーメントを考えなければならなくなった時に不都合が出る可能性がありますし、摩擦力がどの部分に対して働くかが厳密にわかっていなければ、斜面を構成する物体も動き出す場合に大変困ることになります。
続いて②ですが、①によって現象から抽出したデータ(数値)を、正しい計算式を用いて処理する時に必要になるのはもちろんのことで、それよりも未知(物理的に考えたことがない)の現象から①をしなければならなくなった場合に必要になります。先ほどの問題で、物体が乗っている斜面が、実はより大きな物体の一部であったとして、その大きな物体もさらに斜面に乗っているとした時に、その後に起こる現象を物理的にイメージすることは出来ますか?私の問題説明が非常に不十分ですので、この問に答えはありませんが、このような未知の現象に遭遇しても、先ほどと同様にして、働く力の種類を漏れ無く列挙して、→の構成要素を順番に、論理的に考えていかなければなりません。
既に長くなっておりますので、続きは次週とさせていただきます。
化学の勉強法
理科の中で最も基本となる化学の勉強法について今回はまとめていきたいと思います。
私は化学の勉強方法を単元によって2通りに分けています。
まずは酸塩基や酸化還元、熱化学などの理論化学。
こちらについては数学同様に論理的思考が非常に重要になるため、勉強の方法は基本的に数学と同様です。(数学の勉強法についてはこちら『前編』・『後編』をご覧ください。)
敢えて異なる点を挙げるとすれば
①数学と異なり化学は問題集が充実していないため、学び始めた段階で使用する問題集を選ぶのに苦労する
②教科書に公式や定理の証明があまり記載されていないため、論理的思考を磨く方法としては問題の解説を読むしかない
ことが挙げられます。
②については、残念ながら具体的な対処法は持ち合わせておりませんが、①について私がお勧めしたい対処法は、センター試験問題集を利用することです。センター試験問題集は基本的に解説が丁寧に行われており、問題の構成にも隔たりがなく、さらに、基礎に漏れがあっては間違える問題が多く含まれているという長所があり、学び始めの段階で使用するものとして非常に良いものだと思います。その他、学校や予備校で配布される教材などもあるかと思いますが、使用する問題集さえ決まれば、後は先述の数学の勉強法と同様に学習を進めて頂ければと思います。
次に無機化学や有機化学、高分子化合物などの、知識が重要になる単元です。
こちらについては、とにかく教科書を読み込み、たくさん覚えることが重要になると思います。勉強法のようなものはありません。ただ、覚える続けるのみです。逆に言えば、ここで点数を取れない場合はただ努力していないことの現れでもあると思います。一生懸命頑張りましょう。
なお、先の記事にて推奨レベルの問題集として取り上げたのは「化学重要問題集 2014―化学基礎・化学(数研出版)」です。このレベルまで困ること無く全て解けるようになれば、ほとんどの入試問題には対応できるようになりますので、頑張って下さい。
数学の勉強法:後編
先週の続きになります。
基本事項を覚えた上で、教科書に載っている公式の証明や例題の解答が自分で再現できるようになれば次のステップに進みましょう。
先の記事にて「推奨レベル」として紹介した問題集は以下の通りになりますが、これらを用いて勉強を進めていきます。
一対一対応の演習(東京出版)
新数学スタンダード演習(東京出版)
数学Ⅲスタンダード演習(東京出版)
非常に重要な視点としては、「この問題はこう解く」ということをただ覚えるということはせずに、「きほんのき」を習得していた時と同じように、論理的思考に磨きをかけて下さい。
具体的には、解説を見て「AゆえにB」の特に「Aゆえに」の部分を徹底的に理解するようにしましょう(記載が薄い場合は、どうしてそうなるのかを時間をかけて必ず考えましょう)。この部分を少しでも妥協して、解答が合っているからOKなどとしてしまったら、解いた時間が全て無駄になったと思った方がいいと思います。
いかがでしたでしょうか?
私の経験として、論理的な思考をせずに「この問題をこう解く」というのをどれほど覚えても、たくさん問題を解いても、応用問題や新作問題には対処が難しく、なかなか点数が伸びなかったのを覚えています。しかし、逆にハウツーを無視して、時間をかけて論理的に「考える」作業を繰り返していたら自然と点数が伸びてきて、今では数学の勉強法としてはこの方法が一番いいと思えるようになりました。また、大学生になってからも論理的思考の経験というのは非常に生かされますし、社会人になっても同様だと思います。
今、数学で苦しんでいる人は、多くが問題を解いても点数が伸びないということで悩んでいると思います。そういう人にこそ是非ともこの方法を試して貰いたいと願っています。